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キャリー

スティーヴン・キング 著

スティーヴン・キング のデビュー作
70年代オカルトの傑作

父親を早くに亡くし、狂信的な恐ろしい母親に育てられた女子高生キャリーは、いつもおどおどしていて暗くて友達がいなかった。
そんな彼女はいじめっ子たちの格好の標的となり、家でも学校でもストレスを受け続ける圧迫した思春期をすごしていた。
やがて、女の子たちのいじめはエスカレートしていき、ついにキャリーの中に眠っていた恐ろしい力が目覚めてしまう。
発動したらもう誰にも止められない。破壊と恐怖と絶望の扉が開きだす。
類稀なるスティーヴン・キングの才能を予感させる愛と青春のホラー小説。

◇感想と解説

キングの記念すべき処女長編。
家では恐ろしく狂信的な母親に束縛され、学校では同級生にいじめられ、ついに限界に達した少女が文字通り爆発するお話。

無名作家だったキングの処女長編は、ブライアン・デ・パルマ によって映画化され大ヒットする。
こうして、映画 『キャリー』 はキングの名を世界に知らしめただけではなく、30年以上経った今でもコアなファンを持つホラー映画の傑作として歴史に名を残すこととなった。

おりしも 『エクソシスト』 が社会現象までになり、空前のオカルトブーム到来の中。
普通なら流行に乗ってオカルト全開で行きたくなるところ、ブライアン・デ・パルマ は原作の味を見事に汲み取って、切なくて悲しい青春ドラマを描くことに成功している。
キャリー役の シシー・スペイセク と、母親役の パイパー・ローリー の演技も実にすばらしい。
これで二人は、ホラー映画では初めてアカデミー賞 主演女優賞と、助演女優賞にノミネートされた。

『キャリー』 は、ほんとに素敵な映画だ。みんなに観てほしい。
ホラー好きでなくても見れる内容だし、むしろ泣ける。
若き日の ジョン・トラボルタ も必見である。

キングもこの映画はお気に入りだそうだ。

本の方は、新聞の切り抜き記事から徐々に何が起こったのか見えてきたり、バラバラの時系列をつなぎ合わせていく楽しみがあったりして、常に好奇心を刺激される作りになっている。

『キャリー』 は、特殊な女の子のことを描いてはいるものの、キング版シンデレラというか、さえなかった女の子が一生のうちで一番きらめく瞬間を捉えた切なく美しい物語だと思う。
結末はともあれ…。

キングは、この作品を生み出すのにとても苦労をしていて、途中で女子高生の生態が分からなくなって原稿をゴミ箱に捨ててしまったそうだ。
それを妻のダビサが拾って読み、すばらしい作品じゃないの、書きなさいよ、って続きを書かせたそうだ。
それで今のキングがある。

人生ってホントにどこで大きな分岐があるかわからないよね。

◇情報

1974.USA/Carrie

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