クリスティーン
スティーヴン・キング 著
のび太が怪物になるとき
〈負け犬〉のアーニーは17歳、唯一他人より優れているのは車の整備だけだった。
そのアーニーが路傍にセールの札をつけて置いてあったオンボロ車に一目惚れしてしまった。両親の大反対を押し切り、バイトで稼いだ金を注ぎこんで、アーニーはこの車を手に入れた。赤と白に塗り分けた’58年型プリマス・フューリー。名はクリスティーン、だがクリスティーンはただの車ではなかった。
Category:スティーヴン・キング/映画・ドラマの原作
◇感想と解説
悪いものは弱っている心の隙間から入ってくる。劣等感に支配された心には入りやすい。昔からこの手の主人公に悪い奴が寄ってきて人生をめちゃくちゃにしてしまうお話は多い。
こういう場合、読者は客観的に見守るもんなので、ああ!! ダメダメ~!!! それしちゃダメ~!!! ともどかしい気持ちでいっぱいになる。私なら絶対こんな話に乗らないのにな…なんて他人事に思ったりする。
でもわからないよ。
実際に私がアーニーだったら。。
メガネでブツブツでガリガリで何をやってもダメな自分。でも車の整備だけには自信があるとしたら。
その唯一自分の才能を発揮できる場所に悪魔が潜んでいたとしたら。
こんなに不幸なことはない。
人間は、自分の存在理由を求めて生きている。自分の役割を知り、他者から受け入れられ、そしてそれを誇らしく思えることによって人生の幸福を得る。自分がどういう人間なのか、何ができて、何が得意で、何ができないのか。それが明確にならないうちは、誰でももがき苦しむ。
自分はいったい何者なんだ。果たして自分は必要な人間なのか???
長年、この疑問と戦い続けるとアーニーのような人間ができあがる。ひねくれて頑固でかわいげのないモテないオタク。だから人一倍、彼は、自分自身を光らせることができる何かを欲している。
そして、彼は出会ってしまうのだ。彼に整備されたがっている
ステキな車 クリスティーンに。
これは何が何でも ― たとえクリスティーンがビッチだろうと、悪魔だろうと ― ピカピカにしてやるんだと思うだろう。だってそうしたら、今までいじめてきた不良たちも自分を認めるかもしれないじゃないか!!
忠告してくれる (数少ない) 友に彼は叫ぶだろう。
どうして止めるんだ!!!
初めて一人でうまくできたものなのに!!!
やっと見つけた僕だけの才能なのに!!
…わかる、わかるよ、アーニー。
でもダメなんだお~!!
アーニーは、ダークサイドに堕ちたのび太なのだ。
これは誰にでも起こることかもしれない。
もしかしたら明日にでも。
◇情報
1983.USA/Christine
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