第9地区
ニール・ブロムカンプ 監督
難民としてやってきたエイリアンを人類は受け入れられるのか
ある日、ほかの惑星から正体不明の難民を乗せた謎の宇宙船が、突如南アフリカ上空に姿を現す。攻撃もしてこない彼らと人間は、共同生活をすることになる。
彼らが最初に出現してから28年後、共同居住地区である第9区のスラム化により、超国家機関MNUは難民の強制収容所移住計画を立てるのだが……。
◇感想と解説
宇宙人と人類の遭遇。
それはSF作品で数え切れないほど描かれてきたテーマであろう。
友好的な宇宙人、人類を餌としか思っていない宇宙人、人間社会に潜り込む宇宙人、高度な技術と文明を発展させ人類に知恵を授けてくれる宇宙人、人類とまるで異なっているために全く理解できない宇宙人。
今までにさまざまな宇宙人たちが数多くの物語に登場してきた。
この「第9地区」の宇宙人たちはそのどれにも当てはまらない、ニュータイプの宇宙人だ。
都市の上に突如として現れる巨大UFO。
これはよくあるシーンだが、彼らがやってきたのは、監督の出身地でもある、南アフリカ随一の大都市ヨハネスブルグ。
南アフリカが舞台のSF映画ってなかなかレアなのではないだろうか。
都市の上に巨大な宇宙船が来たら、まずは向こうから何かしてくると思うけれど、この宇宙船はシーンっとなったまま、何も動きがない。
そこで人類は無理やり宇宙船の中に入ってみるわけだけど、なんとそこにはおびただしい数の餓死寸前の宇宙人たちがいたのだ。
しかたなく人類は難民キャンプを作って宇宙人たちを隔離する。それが第9地区だ。
宇宙人たちが暮らす難民キャンプと聞くと、なんだか未来的な洗練された施設を思い浮かべるが、ここで出てくる難民キャンプはスラムそのもの。
宇宙人たちはゴミを漁って生活しており、友好的でもなくて、見た目も…劇中ではエビって言ってるけど、なんだかゴキブリっぽくて、あまり人類が好きな感じではない。
そんな彼らを、新たに用意した第10地区へ移住させることとなり、物語もここから始まる。
そして登場するのが、現場責任者に任命された主人公のヴィカス。
こいつが、また…ヒーローとは程遠い、超ダメでやな奴なのだ。仕事は適当だし、責任感もないし、自分勝手だし…。会社の幹部の娘を妻にもち、逆玉に乗ってクビを免れてる感もあり。
なんで奥さんはこんな奴のこと好きなんだろう…って思うけど、彼女を愛する気持ちだけは誰にも負けない彼なのだ。
このダメダメ主人公がドジったことにより、話は思わぬ展開を見せ始め、最後まで目の離せない手に汗握るアクション満載のストーリーが繰り広げられる。
親子愛や友情、主人公よりもっと卑劣な悪者や、夫婦の愛などなど、本当に盛りだくさんで楽しませてくれる。
なんだけど、主人公のヴィカスがクズなので終始イライラしながら観るハメになるという変わった映画だ。
劇中の宇宙人たちは本当にヒドイ環境で暮らしていて、南アフリカということもあって、史上最悪の人種差別政策アパルトヘイトを彷彿とさせる。
エイリアン。自分とは全く異なる容姿・文化を持った者たちを受け入れるのは難しいのか。。
はちゃめちゃなおバカB級映画のようなノリで、私たちにそんな疑問を投げかけてくる映画、それが「第9地区」なのだ。
◇情報
2009.USA/District 9
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