呪われた町
スティーヴン・キング 著
現代社会にヴァンパイアを送り込む!
幼い頃を過ごした町に舞い戻った作家ベン。
町を見下ろす丘の上に建つ廃墟同然の館は昔と同様、不気味な影を投げかけていた。
少年の失踪事件、続発する不可解な死、遺体の紛失事件。
田舎の平穏な町に何が起きているのか?
ベンたちは謎の解明に果敢に挑むのだが…。
「永遠の不死」を体現する吸血鬼の悪の力に蝕まれ崩壊していく町を迫真のリアリティで描いた恐怖小説。
Category:スティーヴン・キング/Kindleで読める/映画・ドラマの原作
◇感想と解説
吸血鬼が出てくるホラー小説や映画は、古今東西 星の数ほど作られている。ヴァンパイアは、古くから人々に親しまれている最もポピュラーな怪物のひとつだろう。
私たちがよく知っているステレオタイプの吸血鬼は、何と言っても <ドラキュラ伯爵> である。あのオールバックでマントの気取ったやつは 『怪物くん』 にも出てくるので日本人には特におなじみだ。
このイメージのルーツは、ブラム・ストーカー という作家が1897年に発表した 『吸血鬼ドラキュラ』 にある。厳密に言うと、この作品を原作とした映画 『魔人ドラキュラ』 のドラキュラのイメージだ。「ドラキュラ」 はあくまでも吸血鬼の名前なんだけど、あまりに有名になったもんで、「ドラキュラ」 = 「吸血鬼」 のように同類語として扱われることが多い。
恐ろしい怪物も、このようにあまりに有名になってしまうとキャラクター化してしまい、恐怖が色あせるってゆうか、飽きてしまう。そんな大衆に飽きられたモンスターを使って面白くて怖くて新しいホラー小説を書くのはとても難しい。
それをやってのけたのが、まだ新人作家だったころのスティーヴン・キングなのである。
古くさーーい 「ドラキュラ伯爵」 を現代社会に登場させてしまったわけだ…。
今でこそ、ヴァンパイアを登場させる小説や映画は珍しくないが、それらは少なからず 『呪われた町』 の影響を受けている。と思われる。
なお、『呪われた町』 の町中が化け物でいっぱいになる感じは、ジョージ・A・ロメロ監督の 『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』 の影響を受けているそうだ。
このような展開は、80年代に流行った 『バタリアン』 シリーズとか、マイケル・ジャクソン の [ Thriller ] とか、近年 何億円もかけて映画まで作られた 『バイオハザード』 シリーズや、人気ドラマ『ウォーキングデッド』とかに色濃く継承されている。
70年代の作品なので、21世紀の今読むと、ちょっと古臭い感じはするが、作品の魅力は失われておらず、充分に楽しめる。
化け物がぞろぞろ歩いて来る系のお話が好きな人には特におススメだ。
まだ見てないけど、『呪われた町』の映画化作品、トビー・フーパー監督の 『死霊伝説』 もそうとういいらしい。
とか言って、いろいろ書いてはみたものの….ストーリーのすばらしさとか、この本が書かれた時代背景とか、うんぬんかぬんは本当はどうでもよい。
この本はキング作品全体で見ると、読まねばならぬとっても重要な本なのだ。
なぜなら、キャラハン神父が出てくるから!!
彼が何者なのか探している人、ここに出てくるよ!
本書は絶版になっていたが、2011年に装い新たに再販された。
入手困難になりそうな本のひとつだったけどこれでみんな読めるね。よかった。
◇関連作品
スティーヴン・キング 著
当短編集に収録されている 『呪れた村〈ジェルサレムズ・ロット〉』 は町の昔の話。
16年前に兄を殺した不良少年たちが、当時の姿で転校してきた!高校教師を脅かす悪夢『やつらはときどき帰ってくる』、腐ったビールを飲んで、怪物と化してしまった父親を描く『灰色のかたまり』、血の味にめざめたクリーニング工場の機械がおこす血なまぐさい惨劇『人間圧搾機』、宇宙飛行士の手の中に寄生した異星生物と、その不気味な行動『やつらの出入口』、暗い汚水溜の中、信じられない出来事が連続して起きる『地下室の悪夢』、ラヴクラフトの暗黒世界に挑んだ『呪れた村〈ジェルサレムズ・ロット〉』など、鬼才キングが若さと才能のすべてをぶつけた傑作短編集『ナイトシフト』ここに登場。
スティーヴン・キング 著
当短編集に収録されている 『〈ジェルサレムズ・ロット〉の怪』 は 『呪われた町』 の後の話。
《ネブラスカ州でいちばん素敵な町ガトリン・人口5431》しかし、そこは19歳以下の子供たちしかいない奇妙なゴーストタウンだった。この町に足をふみいれた中年夫婦の恐怖を描いた表題作。超高層ビルの縁を一周できるかどうかの賭けに挑む『超高層ビルの恐怖』。芝刈り機が人間を襲う『芝刈り機の男』。小さな大学に起こった謎の殺人事件『バネ足ジャック』。本書は、恐怖、サスペンス、ブラック・ユーモアといったさまざまなショート・ストーリーを自在に紡いでみせた傑作短編集『ナイトシフト』の後半部。
ブラム・ストーカー 著
ドラキュラ=吸血鬼のイメージはここから始まった。
バンパイヤものの原点的作品。
トランシルヴァニアの山中、星明かりを封じた暗雲をいただいて黒々と聳える荒れ果てた城。その城の主ドラキュラ伯爵こそは、昼は眠り夜は目覚め、狼やコウモリに姿を変じ、人々の生き血を求めて闇を徘徊する吸血鬼であった。ヨーロッパの辺境から帝都ロンドンへ、不死者と人間の果てしのない闘いが始まろうとしている…時代を越えて読み継がれる吸血鬼小説。
ジョージ・A・ロメロ 監督
『呪われた町』 に影響を及ぼしたホラー映画の傑作。
ジョージ・A・ロメロ処女作にして最高傑作。全ての「ゾンビ」映画はこの作品から始まった。今や古典となったゾンビ映画の第一作。死者が蘇り生者を襲い肉を食べるというプロットは、ホラー映画に新しい定義を作り、多くの亜流を生むこととなった歴史的作品。一軒家に立て籠もった7人の男女と怪物の死闘というストーリーは、さして目新しいものではないが、ロメロの客観的で冷徹な演出と白黒画面が醸し出す恐怖感は他の追従を許さない。
◇情報
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