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2020.12.30汚物の池の老婆

今まで何度か行ったことのある雑居ビルの中にあるDJバーみたいなところに、家族でやって来た。

私はトイレに行きたくなって娘を連れてトイレに行った。

トイレの中がきれいではなかったので、一瞬娘は個室の外で待たせようかと思ったが、居なくなったら嫌なので、一緒に個室に入った。

彼女が床に座ろうとするので、「座らないで!」と腕を引っ張りながら用を足そうとすると、便器の部分がピンクのプラスチックの板になっていて、床との間に隙間があり、その隙間から下の芝生が見えていた。

この建物は芝生の丘の上に建っているのだ。

私はこのトイレの仕組みを知らなかったので、ピンクのプラスチックを外してからするのかな?と悩んでしまった。

座ろうとする娘の腕を両手で掴んでいるので自由が効かず、仕方ないので足でピンクの部分をちょっと押してみた。

すると水の流れる音がして、ピンクの面に水が流れてきた。

なるほど、用を足した後にこうして水を流すのか…
汚物はそのまま便器の隙間から下へ流れ出て、芝生の上に垂れ流しになる様子だった。

汚い水と汚物が溜まった芝生を覗いていると、そこに一人の老婆が潜り込んで何かをしているのが見えた。

私はギョッとして、娘もいたもので攻撃的になり、彼女に向かって「こっちに来るなよババア、警察呼ぶぞっ!」と強い口調で言った。

老婆はトイレから出た汚物を拾っているようだった。

私はとてもトイレをする気がしなくて、娘の手を引きこの建物から出た。

何度もこの建物には来たことがあり、普段は渋谷のような街中だったのだが、今日はもっと田舎の方にあるようだった。

建物の周りには芝生の空き地が広がり、周りには何もない。
うっすら霧がかっていて、少し標高が高い場所なのかもと思った。

トイレの床下にいた老婆は、最初は浮浪者みたいな格好だったのに、いつのまにか茶色いセーターにベージュの帽子を被った小綺麗な婆さんになっていた。

ビニール袋を手に、汚物の池の中でズボンを濡らしながら何かを拾っていた。

さっきまで妖怪か何かかと思っていたけど、実はただの認知症の老人なのでは?という考えが私の中に芽生えた。

本当に警察を呼んだ方がいいのだろうか??

この建物にたむろしてる若者たちの様子からして、この婆さんもここの常連らしいことがうかがい知れる。

もしも自分の家族がこんなことしてたら嫌だよな…助けて欲しいよな…とか思いながらも私は動くことができない。

そうこうしてると、老婆がビニールに3、4個の人間の汚物を入れて満足そうに床下から出てきた。

すると建物の周りにいた若者たちが、わーっと言って彼女を避けた。

「あら、いい道ですこと。」

老婆はやたらと丁寧な言葉で話しながら汚物を持って、建物の向かいの坂を登って行った。

若者の一人が「なんで上から目線なんだよっ」と言い笑った。まるで友達に言うような感じだった。

婆さんはじゃあねと手を振って行ってしまった。

何だかそれが急にほのぼのしたシーンに思えて私も思わず微笑んでしまったところで目が覚めた。

※この雑居ビルは実在はしないと思うが何度か夢に中に出てくる定番の場所。

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