2023.02.6お守りと死人の日記
広い会議室ようなところで大勢の人が椅子に座っている。
セミナー会場のようだ。
一番前に長テーブルが横につなげて置いてあり、その向こうに痩せ型の長髪の若い男が座っている。
会場から一人ずつその男の前に行ってお守りをもらっている。
最初の頃は、男が一人ひとりに握手をしていたが、やがて適当になってやらなくなった。
私の番になりテーブルの前に行くと、テーブルに幾つものお守りがぶら下がっていて、そこから一つ取っていいようだった。
いろいろな大きさ形の、ピンクや赤のお守りだった。
私はその中から一番小さなピンクのお守りを取った。
後ろにいた旦那が自分のお守りを取ったが、やっぱりそっちのがいいと私の前にある大きな赤いお守りを指差した。
私がそれを取ると紐の結び目が解けて下に落ちてしまった。
これをもらうのは何か嫌だな…と思い、お守りを配っている長髪男に渡すと「解けてしまったんですね、教えてくれてありがとう」と言って受け取ってくれた。
意外と親切な人だなと思った。
続いて私たちは横に続くテーブルへと案内されて、その上に乗っているものから何でもひとつ取っていいと言われた。
それらは亡くなった人の遺品で、本人が提供したものだとのこと。
私はその中からカレンダー付のノートを手に取った。
スケジュール管理用のカレンダーをまだ印刷してないことを思い出したのだ。
そのノートについているカレンダーがちょうどいいと思った。
席に戻ってノートを開いてみると、途中まで何か書いてあるようだった。
そうか…これ死んだ人の日記だったんだ。
私はなんかまずいものを選んでしまったと思った。
最初の方を少し読んでみた。
鉛筆で書かれた日記だった。字はキレイでも汚くもない。
日記は娘の闘病について書かれた見知らぬ母親の日記だった。
…これは亡くなった人の日記ではないのか??
「なぜ、それを選んだの?」
誰かに話しかけられた。
「カレンダーがほしくて…これはどこかの母親の日記のようですが、亡くなった人のものではないのですか?」
私はその誰かに話しかけた。存在はあるけど顔がわからない相手だ。
「その人は死んでいません。もういらないということで寄付されました」
「ではこの娘さんが亡くなった?」
「そうでもなさそうですよ…」
やっぱりまずいものをもらってしまったな…と思っているところで目が覚めた。
実際に今年のカレンダーをまだ用意してないので早く用意しよう…と思ったのだった。