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さかあがりの出来ない少年

さかあがりの出来ない少年が、何度も空に向かって砂を蹴り上げている。
鉄のにおいといい、昼下がりの暑さといい、まさに逃れられない夢のようではないか。
そんなに首を反らせていては、永遠にさかあがりは出来ないだろう。
と、傍観者である私は思う。

蹴り上げる。
地面に落ちる。
蹴り上げる。
地面に落ちる。

もうすぐ夕方だぞ。
そんなことでいいのか少年よ。

蹴り上げる。
地面に落ちる。
蹴り上げる。
地面に落ちる。
蹴り上げる。
地面に落ちる。
蹴り上げる。
地面に落ちる。

さかあがりの出来ない少年が、終わりのない始まりを語り続けている。
さかあがりの出来ない少年が、
さかあがりの出来ない少年が、
その さかあがりの出来ない少年が。

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