2015.10.20ロクシーのこと
ロクシーというペットを飼っていた。
それは猫のような不思議な生き物だった。
私は鍾乳洞みたいなとろにいた。温泉だったかもしれない。
ミネラルが棚田のようになった池が続いていた。
観光地なのか人がたくさんいた。
中央に大きな池があって、水族館のシャチのショーを見るみたいな感じで、みんなが周りに座っていた。
私は池を見下ろすちょっと高いところに座った。
下を見ると、池から水がチョロチョロ流れ出すあたりにロクシーがいて、地面に溜まった水を飲んでいた。
水は白っぽく濁っていて、汚く見えた。
こんな水を飲んでは体に悪いのでは?と心配だった。
自分が座っている場所を見ると、地面は水浸しで、みんな濡れてもお構いなしの様子だった。
私もそういうものかと思って座っていた。
やがてロクシーは水を飲むのをやめて、私の方へ登ってこようとしたが、気分が悪くなったらしく、ジャポっと中央の池に入ってしまった。
そして、猫とは思えない俊敏な動きでスイーッと泳ぎながら、ゲロを吐いた。
ロクシーのゲロは蛍光緑に光って水の中に美しく流れた。
そこに小魚がさーっと寄ってくるのが見えた。
なおもロクシーはゲロを吐きながら池の中を泳いでいる。
すると、ディズニーのショーみたいな音楽が流れ始め、池の底の形がサメになったりイカリになったり漫画チックに変化した。
みんなショーを楽しんでいるが、私はロクシーが心配でならなかった。
やがて賑やかなショー的なものが終わり、池は静まりかえった。
私はロクシーを探しに下の方へ降りて、池の周りを歩いてみるがロクシーの姿はなかった。
池の中を覗くと、大小様々な四角い箱のようなものがならんでいて、ロクシーがいるのか見えなかった。
なぜか私の記憶の中でロクシーは四角いものになった。
こんなに四角ばかりではロクシーがいてもわからないじゃないか。
そう思ったとたんに音楽が鳴り出して、池の底の四角が一斉に歌いだした。
箱の中にはニコちゃんマークがあって、それらが歌っていた。
どれも四角で、ロクシーはいない~♪
箱たちは水中で左右に揺れて楽しそうに歌っていた。
それを見て私はロクシーが死んでしまったと確信した。
池の中央に漫画チックな顔のついた四角い箱が浮かんできた。
箱は眠っているような顔をしている。
それはロクシーだった。
ロクシーっ!!!
やっぱり死んでしまったのねっ!!
この世のものとは思えない巨大な悲しみが私の心の奥底から嗚咽となって湧き出してきた。
嗚咽は喉から出てこれないほど大きな大きなものだった。
おおおおぉぉぉおお。。。
私は動物のような声をあげて泣いた。
私はロクシーが大好きだったんだ。
悲しみは私の精神を破壊するほどに、私の体の中で膨れ上がった。
体験したことのない悲しみだった。
すると、ロクシーの体がグニャーツと変形して、巨大なそら豆のようなツルツルの黄緑色の物体に変化した。
そしてピョコンと飛び上がった。
黄緑の物体には漫画チックな顔がついていた。
なんとロクシーが生きかえったのだっ!
ポカーンとそれを見てるところで、目が覚めた。
私の目には涙が溢れていた。
そこにあったのは、ロクシーが生き返った喜びではなく、悲しみの余韻と戸惑いだけだった。