大気と光
大気や水蒸気などによって、太陽や月の光が屈折したり反射したりする現象を大気光学現象というそうな。
文字だけ見ると難しそうな現象だけど、つまり、夕焼けとか虹とかそういうやつである。
今日は光と大気が織り成す芸術について書きたいと思う。
◇朝焼けと夕焼け
真っ赤な太陽。
これは最も身近な大気光学現象ではないだろうか。
朝日や夕日って何度も見てるのに、何度でも心を奪われる。
世界中に太陽信仰があるのもあの赤のせいだと思う。
あの赤色は人間の原始的な部分を刺激してくるんだきっと。
この間、海に行ったら、ものすごい夕日になって、あたりが赤く染まった。
そしたら、みんな一斉にカメラや携帯を太陽にかざして写真を撮り始めた。
私も例に漏れず。
現代版 太陽信仰。
このときはどっちかっていうと山岳信仰か…。
こちらは日本の太陽神と月の神。
かわいい~。
…って太陽信仰とか山岳信仰のことを考え出すと大変なことになるのでまた今度。
◇なぜ夕日が赤いのか
あの燃えるような赤のわけには、大気に入ってくる光の角度のせいらしい。
光は粒子に当たると反射する。
これを 「散乱」 と言うのだが、地球の大気の成分は青い光を散乱しやすい性質がある。
逆に、地球の大気では赤は反射しないで直進しやすい。
だから、昼間は青があちこちに飛び散って空全体が青く見える。
遠くの山が青く見えるのもこのせい。
で、朝方と夕方は太陽の光が浅い角度で地球に入ってくる。
すると、光が空気の層を通過する距離が長くなる。
通過する距離が長くなると、青い光はどんどん散乱して私たちの目に届く前にどっか行ってしまう。
それで、直進してくる赤い光がより多く目に入って空が赤く見えるのだ。
こちらは静岡県の山から撮った富士山と朝日。
東京からは富士山の方向に日が沈むけどこっちは朝日なのよね。
って当り前のことだけど面白い。
夕焼けがすごいピンクだったり、変な色のときってあるけど、あれは大気に混ざっている粒子の加減によるんだろうね。
これは夕陽が変な色だったとき。
あと赤い月も同じ理屈。
赤い月の写真は撮ったことがなかったので画像は拾い物。
赤い月が昇ってくると不気味だけど、理屈がわかれば怖くない。
(この写真は皆既月食かも)
◇あんた誰?っていう時刻
<黄昏 (たそがれ)>
これよく見たら変な言葉である。
どう見ても当て字だし。
で、調べてみたら、「誰そ彼 (たれそかれ)」 という意味だった。
薄暗くなってきて、相手がよく見えないってこと。
誰だ彼は??? って時刻。
こちらは茨城の黄昏時。
で、この 「黄昏」 には、対義語があった。
<彼者誰 (かわたれ)>
というそうだ。
ほんのり明るくなってきたけどものの区別がつかないくらい、らしい。
彼は誰??? って時刻。「誰そ彼」 の逆である。
静岡の山の上にて。彼者誰時。かな?
昔の人は面白いこと言うなぁ。
これ以外でも、朝方や夕方を表す言葉はたくさんあって面白かった。
興味ある人ぜひ調べてみて~。
ちなみに…。
暮れなずむ町の~♪ の、「なずむ」 は、「とどこおる」 という意味。
で、「暮れなずむ」 は暮れそうで暮れないって意味らしい。
◇火星の夕日は青い??
夕日は必ずしも赤いとは限らない。
最初に書いたけど、地球で見る夕日が赤いのは大気の成分による。
だから、大気の成分が違う惑星だと、空の色は全く異なってくる。
地球のお隣の火星は、地球とわりと似てるけど、大気の成分が違う。
火星の大気は赤い光をより散乱させるそうで、昼間の火星の空はベージュ色だ。
そういえば、映画 『トータルリコール』 で、火星の大気に酸素が増えたら空が青くなってたね。
そういうことだったんだ。
で、火星の夕日だけど。
火星の場合は、赤い光の方が散乱するので、青い光は散乱しにくくまっすく進んでくる。
だから、火星の夕日は、地球と反対で青くなるのだ。
なんか寒々しい夕日だけど、肉眼で見たら美しいんだろうなぁ。。
宇宙にはいろんな空の色があるってことね。
◇ブルーモーメント
これに対する日本語が見つからない。
日本では数分しか見られないので対応する言葉が生まれなかったのか。
これは太陽が沈んだあと、一面が濃い青色になるあの時間帯のことである。
北極・南極により近い地域では、この青の時間が数時間も続くそうだ。
私はこの時間が好きでよく写真に撮ろうとするがあの青を写すのはとても難しい。
渚にて。
こちらは確か朝のブルーモーメント。
◇虹は7色じゃない??
虹も大気光学現象である。
虹を見るとなんだか嬉しくなる。
虹が出てると 「あ!虹だ!」 ってどうしても報告してしまう。
ムシできない。
ムシといえば、なんで 「虹」 って漢字はムシ偏なんだろう。
で、調べてみたら、「虹」 の 「虫」 は昆虫のことではなくて蛇とか竜のことだったらしい。
「工」 はつらぬくという意味がある。
「空」 も 「穴」 と 「工」。
虹は空をつらぬく竜。
で、虹と言えば ≪レインボーカラー≫。
日本人の私はこの7色のアーチを思い浮かべる。
虹といえば7色、7色といえば虹くらい常識に思ってたけど。
虹が何色なのかって国によって解釈が違うらしい。
知らなかった!
フランスのDJのジャケでは6色
(RAINBOW MAN / BUSY P)
イギリスのバンドのジャケでは5色
(Rising / Blackmore’s Rainbow)
3色とか2色で描く地域もあるらしいけど調べるの疲れた。。。
◇夜の虹
虹は昼間だけに出るものじゃない。
月の光でも虹が出ることがあって、月虹 (げっこう) とかNight rainbow (ナイトレインボー) とか、Moonbow (ムーンボウ) とか呼ばれる。
見たことないなぁ。
これは拾った写真。
これはヤバイ。
◇雲の中に立つ神
山の上に立ったとき、見下ろす雲の中に神の姿を見ることがある。
これは、超常現象ではなくて、ブロッケン現象と呼ばれるものだ。
いつか目撃したい憧れの光景である。
もっと写真を見たい人はこちらへ。
http://www.google.co.jp/images?hl=ja&source=imghp&q=Brocken+spectre&gbv=2&aq=f&aqi=&aql=&oq=&gs_rfai=
神様にしか見えない。
ちなみに、『ブロッケン』 は、この現象が起こりやすいブロッケン山からきている。
◇薄明光線
これもよく見る大気光学現象だ。
雲間から太陽の光が差し込んでカーテンのようになるあれ。
神々しい。
これは比較的 写真に収めるのが簡単な現象なので私も何枚か撮っている。
四日市の朝。
相模川の夕方。
青森の午前中。
青森の夕陽。
山形の日没まぎわ。
雲間から出てる場合が多いけど、山から出てるのもかっこいいよね。
これは山梨だっけかな??
昔からこの現象は神秘的なものと結び付けられていて「天使のはしご」 とか呼ばれる。
また、17世紀の画家 レンブラントが暗闇に差し込む光をよく描いたことから 「レンブラント光線」 と呼ばれることもある。
天使のいる聖家族
フランス・バニング・コック隊長の市警団
◇暈 (かさ)
この間、太陽に二重の暈がかかっていた。
これは、大気中の六角形をした氷晶が作り出す現象だそうだ。
二重の輪は、外暈・内暈といって、六角形の中を光が屈折して通ることによりできたものなので、角度が決まっている。
外暈は太陽に対して46度、内暈は22度のところにできる。
だから虹に似てるけど仕組みは違う。
月にかかる暈も見たことがある。
これは2010年1月30日。
一年で最も月が大きく見える日に撮ったもの。
大きいの?どれどれ?と見に行ったら見事な暈がかかっていた。
そのままの写真だと暗いのでちょっと明度をあげてみた。
見えるかなぁ。。
昔から、お月様が傘さしてると翌日は雨っていうけど、あれって、傘と暈をかけてたんだね。
と思いつつ、私がずっと暈だと思ってたやつは 「暈」 じゃなくて 「光冠」 かもと気が付いた。
光冠
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E5%86%A0
うん、よく見るのは光冠の方だ。
光冠は氷晶でなくて水滴(もしくは微粒子)で光が屈折して起こる。
◇幻日と幻日環と
暈を作り出す大気中の氷晶はさらに不思議な光景を作り出す。
ネット上からこれはと思う写真をかき集めてみた。
幻日は太陽の横に出る名前のとおり幻の太陽。
これも六角形が作ってるので、出る場所が決まっている。
幻日環は太陽を貫く光の輪。
私はこんなの見たことないけど、寒いとこに行くと見れるのかな???
これらの現象をまとめて分かりやすく解説してるページがあった。
詳しくはこちらどうぞ。
空の輝き
http://homepage3.nifty.com/ueyama/sky2/sky.html
大気光学現象は、蜃気楼とかまだまだいっぱいあるけど、疲れたので今日はここまで。