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寄生と共生

小さな生き物たちの世界は、実に奇妙で複雑で不思議な世界なのだ。
たぶん、彼らは何万年、何億年も前から普通にそうやって暮らしてきたのだろうけど。。
いったい誰かこんな仕組みを考えたんだろうかと恐ろしくなるくらいだ。

今日はその一部をちょっと紹介したい。

◇【1】隅っこに居候する虫

虫の中には、まるで人間くさい習性がある奴らがいる。まず紹介したいのは、居候するクモである。
ニートと言ってもいいかもしれない。その名もイソウロウグモと言う。
奴らは大きなクモの巣の隅っこに住んでいて家主が気にとめない小さなご飯を取って暮らしている。
彼らは他人(他クモ?)が作った網を使うので自分で働かなくてもよく、しかも家主が食べないものを食べているので迷惑もかけてないし、という発想である。中には家主が作った網の隅っこを食べてるやつもいるらしい。

こういうのを労働寄生という。
なんかずるい奴らだ。

しかし、居候しているのはまだかわいい方で、こいつらの仲間にはヒドイことをするのもいる。
家主がとった餌を横取りしたり、家主を食べちゃったりするのもいるそうな。
こうなってくると、居候というより強盗殺人だわね。強盗殺クモだ。

今度、ジョロウグモなどの巣を見かけたら隅っこの方も観察してみよう!

◇【2】奴隷になるアリと腐敗国家

アリというのは実に不思議な生き物である。
アリの不思議な習性となると、語りつくせないくらいたくさんあるのだが、その中で、まるで人間の歴史を見ているようなことをするやつらがいるので紹介したい。サムライアリというかっこいい名前がついたアリである。
侍というだけあって、主に日本で多く見られるアリだ。
彼らはなんと、ほかの種類のアリの巣を襲って蛹を誘拐し、自分たちの奴隷として働かせるのだ。

奴隷狩りは夏の蒸し暑い午後に行われる。

ってまるで時代劇のようだ。。
と言うものの、このサムライアリの暮らしを知ると全く侍魂に欠けるものとわかる。
普通のアリの場合は、空中で交尾をした女王候補アリが地上に降り立って、一から巣をつくり子を産んで王国を築く。
それに比べてサムライアリは、初めから攻略の歴史なのである。

サムライアリの女王は交尾を終えると、まず他の種類のアリの巣を襲う。
犠牲になるのは、クロヤマアリという種類のアリだそうだ。
他人の巣に入ればもちろん攻撃されるが、サムライ女王はお構いなしに突き進んで、その巣の女王を殺してしまう。

サムライ女王は、敵の女王の体のワックスを自分にも塗るので、女王殺しが完了すると、今まで攻撃してきた敵地の働きアリたちが、サムライ女王を自分たちの女王と誤認し、世話を始める。

こうして、サムライ女王は、まんまと他の種のアリを奴隷にして、巣を乗っ取ってしまう。
その後は、女王が産んだサムライベイビーたちを奴隷アリたちが育てて、やがて巣は何にもしないサムライでいっぱいになる。
奴隷が死んで足りなくなれば、他の巣を襲って補充をする。

サムライたちはこんな恐ろしいサイクルの中を生きているのだ。

子育ても身の回りのことも、全て奴隷にやらせて、挙句にはご飯も奴隷に口移しでもらわないとダメな状態。
いったいサムライたちは普段何してるんだろう。。。それについてはどこにも書いてない。

毎晩パーティして飲んだくれて、たまに奴隷狩りに行ったり。まるで昔の貴族みたいな暮らしをしているのかな?
なんだか腐敗した国家を見ているようだ。

◇【3】わたしを食べてと踊る虫

寄生して暮らしている生き物はたくさんいる。人間の体の中にもたくさんの寄生生物が暮らしている。
でも、そいつらの中に、宿主を操作してしまう奴がいるとしたらどうだろう。

もうなんだかSFマンガみたいな世界だけど現実に起こっている。

見た目にも一番衝撃的なのはロイコクロリディウムという寄生虫だ。こいつらの最終宿主は鳥なのだが、幼虫はカタツムリなどに寄生する。

鳥のうんこに紛れてロイコクロリディウムの卵が地上に撒き散らされて、それをカタツムリが食べる。
そしてカタツムリの体内でロイコクロリディウムが産まれて育つ。
そんで、ここからが超キモイんだが、そろそろ鳥の方へ行くぜという時期になると、ロイコクロリディウムの幼虫は何らかの力をつかって、カタツムリの行動を操作する。

操作されたカタツムリは、普段は隠れているのに目立つところにふらふらと出てきてしまう。

ロイコクロリディウム自身は、その間にカタツムリのツノへと移動し、ウニョウニョとサイケデリックな色彩ダンスを始める。
このせいで、カタツムリのツノは巨大化して、夜闇のネオンサインのように鳥に合図を送る。

これ、昔テレビで見たけど、すごい衝撃映像。。見たい方はこちらへ。
キモイので苦手な人は見ないことをお勧めする。

(こう言うのが割と平気なら、まあまあ綺麗に見える)
http://jp.youtube.com/watch?v=CsjFLvTfy4I

(この映像はだいぶキモイ。保障しません。)
http://jp.youtube.com/watch?v=EWB_COSUXMw
http://jp.youtube.com/watch?v=s-qo-xsJIto

ロイコクロリディウムのダンスのせいで私を食って…っとバキバキに目立ってしまったカタツムリは鳥の餌食となり、幼虫は晴れて鳥の体内への侵入に成功する。

そうして命は次の世代へ。

ああ、生命ってホントに不思議。

◇【4】オスでも母になったと思わせる卵

ロイコクロリディウム以外にも、宿主を操作する奴らはたくさんいる。
次に紹介したいのは、フクロムシというカニに寄生するフジツボの親戚。
フジツボといっても、卵巣だけ精巣だけみたいな卵生物なのだが。
これに寄生されると、カニは生殖能力を失う。

というのも、こいつらはカニが卵をかかえるお腹のあの部分に寄生するからだ。
卵みたいな生き物なので、寄生されたカニはまるで卵をいっぱい抱えた親カニそっくりになる。
しかもカニたちは、フクロムシをまるで我が子のようにかわいがり、育てるのだ。

ここで驚愕なのは、フクロムシに寄生されたオスカニの運命である。
なんと、フクロムシに寄生されたオスは、お腹の部分が卵を抱えられるように変形して、メス化してしまうのだ!

そして大事にフクロムシを育てる。。

あたし、赤ちゃんできたの・・って異生物の卵をかわいがってるなんて、かわいそうなオス。。
眼を覚まして!!! そこからカニは産まれないんだよ〜。

◇【5】カマキリを入水させる虫

カマキリやバッタに寄生するハリガネムシというのがいる。成虫は水の中で暮らすが、幼虫は寄生生活を送る。
水中に産み落とされた卵から幼虫がかえって水生昆虫に寄生、もしくは、その水生昆虫を食べたカマキリとかに寄生する。

虫の体の中で成虫になったハリガネムシは、また水中に戻り、卵を産んで最初のサイクルに戻る。
カマキリなどの陸上の虫に寄生した場合は、水に戻れなくて乾燥してしまうこともあるそうだ。
乾燥すると針金みたいに硬くなるけど水をかけると戻るらしい。

キモイ。

それでもやっぱり乾燥したくないらしくて、陸上昆虫に寄生したハリガネムシは、何らかの力をつかって虫たちを水辺へと向かわせ、入水させる。そしてハリガネは宿主の体を食い破って出てくる。
エイリアンみたいで怖い。。

どうしてそんな行動をさせられるのか未だ謎だそうだが、ハリガネムシが寄生したバッタの脳から他のバッタにはないたんぱく質が検出されたそうな。脳が改造されちゃっていたんだね。こわーーー。

ハリガネムシが出てくる映像もあるらしいんだけど怖いので見てない。
それは見なくていいや・・・・見たい人は自分で探してね。

◇【6】イソギンチャクとヤドカリの関係

寄生の世界は、だいぶ気持ち悪るかったので、最後に心温まる共生の話を書きたい。
共生で可愛らしいのは、何と言ってもイソギンチャクと愉快な仲間たちである。
イソギンチャクの間から顔を出しているニモたちはホントにかわいい。

そして、イソギンチャクとヤドカリの世界も絵本のようなかわいらしい世界だ。
ヤドカリの中には、イソギンチャクを家に乗っけて生活しているやつらがいる。

ヤドカリは、自分のパートナーのイソギンチャクを見つけると、つんつんと刺激する。
そうするとイソギンチャクは素直に岩から離れるので、ヤドカリはそいつをつかんで自分の貝にくっつける。
こうしていれば、ヤドカリは身を守れるし、イソギンチャクは移動もできるし、おこぼれにもありつける。

完全なる相利共生だ。

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ヤドカリがイソギンチャクに餌をやってるところも目撃されたことがあるそうな。
ヤドカリは、ご存知のとおり貝殻を住みかとしている。
だから成長したら、大きい殻に引越しをしないといけない。
引越しのときにも、ヤドカリはイソギンチャクをはがして新居に移す。

なんとも微笑ましく平和な世界だが、ヤドカリの住宅事情はシビアなようだ。
なかなかちょうどいい殻が落ちていない。
しばしば喧嘩もあったり、弱い奴が追い出されたりもするようだ。

時々、ゴミを背負ってるヤドカリが環境問題の広告に使われたりもするね。
それくらい家が足りないんだ。

そんな中に、救世主のようなイソギンチャクが登場した。
殻がついてるイソギンチャク。
イソギンチャクが作った殻は、ヤドカリの成長にあわせて大きくなってくるという優れもの。

ヤドカリにとってこれほど贅沢なものはない。
外敵から身を守るセキュリティ機能もついてる上に、一生引越ししなくてよい夢の住居。
これ以外でも、ヤドカリが入っている貝殻を拡張工事してリフォームしてくれるイソギンチャクもいるそうな。

でもそういうのがいるって書いてあるサイトはいっぱいあるけどそれがどんな種類のイソギンチャクかわからない。
だから画像はない。調べるのもう疲れた。。。

うーん。
うちもイソギンチャクが作ってくれないかな???
磯臭いかな。。

以上、今日のお勉強は終わり。

2009.01.5
※記事の内容は私が独自に調べてまとめた内容なので間違いもあるかもです。そしたらごめん。
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