宇宙エレベーター
こんな本を読んだ。
全長四万キロの “宇宙エレベーター” を作っちゃおうというお話。
他のクラーク作品と比べてストーリーは大したことないが、宇宙エレベーターについて壮大な夢が語られていて面白かった。
“宇宙エレベーター” とは、地上から静止軌道に浮かんでいるステーションまで伸びたチューブ もしくは 塔 などを行き来するエレベータ。
所謂、ジャックと豆の木の豆の木である。
実現すれば、宇宙空間に出るまでにロケットが不要になり宇宙開発がとっても発展したり、宇宙旅行も容易になる。
月まで気軽に旅したりできるかもしれない。
4万キロの高さの建物を地上から造るとなると、全く持って現実的ではない。
超高層ビルでも500mくらいだし、世界最高峰のエベレストでも、たった 8,848mである。宇宙は遠いのだ。
では、一体どうやって全長4万キロもの建造物を作るのか。
答えは簡単。
空から地上に向かって作るのだ!!!
まず、静止軌道上のステーションから地球に向けてケーブルを垂らす。
内側ばっかりに作ると、地球の引力に引っ張られてステーションごと落っこちてしまうので、同時に地球とは反対側にもケーブルを伸ばしてオモリをする。
内側は引力で引っ張られ、外側は遠心力で引っ張られるという綱引き状態になりステーションは静止軌道上で安定、ケーブルを地上に到達させることができる。
最後にこのケーブルにそって チューブ もしくは 塔 などの建造物を造れば完成!!!
とまあ、理論的には可能なようだけど、問題がひとつ。
引力と遠心力の引っ張り合いに耐えられる物質がない!!!
そんなわけでずっと長い間、宇宙エレベータは SF の世界でのみ実現するものだった。『楽園の泉』 は2142年ごろが舞台となっており、未知の素材を使ってエレベータを作る設定になっている。そう、現代の技術ではお手上げの代物だったのだ。
ところが!!!!!
1991年に カーボンナノチューブ なるものが発見され、一気にその未来が近づいた!!!
こいつは見事に宇宙エレベーターを作るだけの強度を持っていたのだ!!!
発見したのは日本人!!!!
まだミクロの世界だけどね。
これを 4万キロ も伸ばせるようになるには何百年かかるのかしら??? と思ったら
↓
宇宙空間へ物資や人を運ぶ「宇宙エレベーター」、実現は15年後?
http://wired.jp/2003/02/10/%E5%AE%87%E5%AE%99%E7%A9%BA%E9%96%93%E3%81%B8%E7%89%A9%E8%B3%87%E3%82%84%E4%BA%BA%E3%82%92%E9%81%8B%E3%81%B6%E3%80%8C%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%80%8D/
(2003年2月10日)
2018年にできちゃうの???
マジで!!???
って、でもよく考えたら技術的な面以外でも乗り越えなくてはいけない問題がいっぱいある。
今、空の上はゴミだらけなのだ。いろんな国で実験した衛星の残骸とかいろんなもんがいっぱい漂っている。
まずはこれらをきれいにして…。ってことはよ、一国の力ではどうにもならないので世界が一つになってみんなで協力しないといけない。莫大な費用もかかる。
そして、このような建造物は事故ったら大災害となる恐れがある。何しろ人類がかつて見たこともないような巨大なものなんだ。確実な安全を確保するためには多くの課題をクリアしないといけないだろう。
そして、テロなんかにあったらどんなことになるか知れない。もしも宇宙エレベータが偏った立場の人間の繁栄の象徴となれば、テロの標的となることは避けられない。崩壊した建造物の残骸が地表に降り注ぐようなことになれば、その被害は想像を絶するものになるだろう。
そうだから、宇宙エレベータは、人類が戦争を卒業して、個人や自分の所属するグループの幸福だけを願うのではなく、人類全体の発展のために、みんなが一つになれるような時代が来ないと無理なんだ。
私が生きている間に、そんな時代は来るだろうか。
いや、来ないだろうな…まだ当分。
◇タコマナローズ橋の崩壊
『楽園の泉』 の中で、主人公がタコマナローズ橋の崩壊の映像を見るシーンがある。
丈夫にできてるように見えた橋が、あっとゆうまに崩壊してしまう映像。
宇宙エレベータの建設を夢見る主人公は、この映像を胸に焼きつける。
この橋の崩壊は実際の出来事で映像が本当に残っていた。
なんと YouTube で見ることができる。
なんという時代だ…。