1994.05.6友達国
誰かの結婚式が終わると同時に私たちは会場を出る。
ロビーに先生がいる。彼はしつこく 「何だ、そのだらしない服は!」 と叫んでいる。
私はいい先生だと思っていたのに、がっかりする。
外には、会場内にいたのよりも倍近くいるのではないかと思われるボーイやウェイトレスが果てしなく並んでいる。
彼らは口々に 「制服を着なさい!!」 と言っている。
「制服なんて持ってないです。」 と私は必死で訴える。
巨大な旅館のようなところに着くと、フロントのおばさんが 「178号室よ、他は教室だから間違えないように」 と言って鍵をくれる。
エレベータに乗り込む直前、友達が 「おけいこ、してやるよ。」 と話しかけてくる。
私はエレベータのボタンを見る。
「おけいこ」のある階は3つだけで、それも「絵」と「歌」と…別の友達が3つめを押したので見ることができない。
エレベータに乗り込んでから3つめを見てみる。
3つめは「お花」だった。
私はさっきの友達に 「お花だよ」 と教えてあげる。
エレベータには長いこと乗っている。
途中で一度止まって、青いダウンチョッキを着た中国人らしき人たちが乗り込んで来ようとしたが、友達の一人が 「マージャン好きだからダメ」 と言って乗せなかった。
中国人達は何十人もいるのに関わらず、全員同じ服で、同じ顔で、同じ禿頭だった。
やっとエレベータが目的の階に着く。
私たちは必死で178号室を探すが見あたらない。いつの間にか、何処も彼処もジャングル風の教室になっている。学生達は私たちを面白そうに見ている。
187号室というのはあったが、他はみな2000とか1897とか桁の違う部屋番号である。
部屋番号を確認しなくても、教室だらけなので、私たちの部屋がないと分かる。
私たちはどんどん変な場所に迷い込む。
ジャングル民族博物館みたいなところにやって来た。
やたら広い。巨大な船のようなものも展示してある。
やがて沼地のようなところで私たちは疲れて座り込んでしまう。
しばらくすると、不気味なばかでかい声が 「友達国をねらえ!」 と叫んでいるのが聞こえてくる。
「友達国」 とは私たちの事らしい。とりあえずみんな逃げる。
奇妙な衣装を着た人たちが追ってくる。ジャングル風の衣装だ。
逃げているうちに、この沼地が巨大な生き物の胃袋のなかであったことが分かる。
出口に向かって走る、走る、走る。
→起きる