ローズ・マダー
スティーヴン・キング 著
昼下がりの泥沼ドラマを期待している人にはおすすめできない
このままでは、殺される―ある朝、シーツについた小さな血の染みをみつけて、ローズはそう口にしていた。優秀な刑事の夫ノーマンも、家ではサディストの暴君。結婚後の14年間暴行を受け続けたローズは心身ともにもう限界だった。逃げだそう。あの人の手の届かないところへ―。だが、家出をした妻をノーマンが許すはずがない。残忍な狂気と妄執をバネに夫の執拗な追跡が始まった。
Category:スティーヴン・キング
◇感想と解説
恋愛から疎遠になって久しい奥様たちが好んで読むような、そんなハーレクイン的な世界……のキング版。
サスペンス風で、メロドラマ風。
風・・・ってゆうとこがポイント。
この本のアブストや表紙から内容を想像して読み始めた人は、物語の途中から違和感を覚える人もいるんじゃないか??だって、この物語は、サスペンス風でメロドラマ風な、
ものっすっごいファンタジーなのだ!!!
この物語を一文で表すとしたら、こうなる。
ハラハラドキドキのサスペンスな世界で
世にも奇妙なファンタジックな出来事が徐々に起こり、
充分なアクションシーンとラブロマンスもあったりして、
最終的には オゲレツ ホラー コメディ と化す。
これはハリウッド映画もギャフンと言う盛りだくさんぶり。
ファンタジーへの導入部分が本当に見事!!!!!
このお話は絶対に面白い! という予感で鳥肌がボツボツ出る類。って、ホメ過ぎな感じもするけども、奇想天外でとっても面白いストーリーだよ。
そして、『ローズ・マダー』 を読んでいくと、必ず「???」となる個所が出てくるだろう。それが何なのか知りたい人は、迷わず 『ダーク・タワー』 を読むことをおすすめする!!!
▼ネタバレを開く
ローズの買った絵の世界は 『ダーク・タワー』 でいう ≪中間世界≫ である。
ローズが赤ん坊を連れてくるために入る迷路はギリシア神話に出てくるミノタウロスのラビリンスを思わせる。
絵の中にいる、ベビーを連れてきてほしい ローズ・マダー と、僕のような ドーカス の関係が、『ダーク・タワー』 のベビーを生みたい マイア と、体を乗っ取られた スザンナ を彷彿とさせる。どちらもクモが大いに関係している。
この絵の作者は分からないが、『ダーク・タワー』 に出てくる聖なる絵描き パトリック・ダンヴィル の作品なのではないかと想像してしまう。こんな絵をかける人が他にいるだろうか??
ただ、主人公のローズが逃げ込んだ <娘たち&姉妹たち> には 『不眠症』 の重要人物である スーザン・デイ の写真が飾ってあり、『ローズ・マダー』 と 『不眠症』 が同年代の出来事であることが憶測され、『不眠症』 で パトリック・ダンヴィル はまだ子供なので、ローズの買った絵の作者は別にいるのかもしれない。
ともかく、この絵の正体が全くわからないところがキングらしい。
◇関連作品
◇情報
1995. USA/Rose Madder